たった四回に渡って連載してきた【時の音楽論】。
最終回となる今回はトリにふさわしい大物歌手のご登場です。
しかし、この人物について書くことはあまり気が進みません。
なぜなら彼女についてはあらゆるメディアで、もう書き尽くされた感があるからです。
私は他人と同じ事は書きたくありません。
なので今日はおそらく誰も書いていない事を書こうと思います。
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「真の黒幕」

 
浜崎あゆみは平成で最も成功したアーティストと言えるでしょう。
曲、歌詞、コンサートやファッションに至るまで、
彼女はあらゆる面で完璧かつ先駆的なレベルを披露し続けてきました。
しかし彼女の成功は、
とてつもなく大きな“黒幕”によって支えられていた事を指摘せずにはいられません。
 
それは意外にも彼女自身、
浜崎あゆみ自身の知力が超人的だったという事なのです。
私が最もそれを意識したのが2ndアルバム、
「白あゆ・黒あゆ」として当時話題になった上半身裸のジャケット写真です。
これは彼女の発案で、周囲のスタッフはその独断に全力で反対したと耳にしましたが、
それは間違いないと思います。
なぜなら当時、今まさに人気が頂点に差し掛かろうとしている彼女に対し、
「裸になれ」という助言はおろか、発想すら周囲の者には出るわけもなかったはずです。
 
ところがこれが5枚目・6枚目のアルバムの時だったらどうでしょう。
人気が下がり慌てて裸になる、これほど哀れな事はないはずです。
つまり彼女はやるなら今だと、先を見越して判断したという事です。
他にも彼女は絶頂期に「人気はいつか衰える」といった趣旨の詞を書き残しています。
 
果たしてそこに一人の天才がいたとして、
自分の人気が国民的なものとなり、最も盲目的に自我を失いかねない時、
未来を冷静に見通す事など出来るでしょうか。
しかし彼女は見通していました、そのとき私は思ったのです。
「彼女は天才を超えている」と。
 
 
私は恐れています。
この先、彼女のような才人は二度と現れないのではないかという不安と、
その不安が間違いなく当たるであろうという事の二つが。

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