【イーストロード2】
2007年11月8日 時の小説(旧)「イースト・ヘイト」
薄暗い闇の中で目を覚ます。
隣の部屋から、韓国語を話す女の声が聞こえてくる。
私の眠りは、あの声によって妨げられたのだろうか。
先日、隣に越してきた一家の妻である。
入居してきた当初から窓を開け放ち、ありとあらゆる騒音を昼夜提供している。
今日も夫と請求書の支払いに関してもめているのだ。
一度だけ、この女と廊下ですれ違った事がある。
何とみすぼらしい女かと思った。
あたかもこの世にありうる希望の全てを捨て去ったかのような風貌をしている。
こんな女を抱いている男がいるというのも信じられない。
全てを捨てたこの女と、全てを欲するあの女とでは、どちらが醜いと言えるだろう。
いや、実際はこの女の心も、欲望にまみれたまま生きているのだ。
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