<イーストロード9>
2008年2月21日 時の小説(旧)「イースト・ウェイヴ」
河村と渋谷に出る。
派手な若者に占拠された街というイメージはあっさりと崩れ、
ただ人が多いだけの街だと気づく。
薄汚れた道路の端に座り込む少年たちを見て、
河村が「もう子供でなくなってから随分と経った気がする」と言った。
いつか、この男が高校の廊下にもたれて一人座っていた事を思い出す。
彼は金髪の級友たちが学校をサボると味方がいなくなるだけではない、
教室にいる事さえ許されなくなってしまうのだ。
人は永遠に孤独には勝てない、その彼の顔はそれを物語っていた。
きっと、この街には何でもあるのだろうと思う。
希望と絶望、栄光と転落、そのどちらを手にするかは全て自分に掛かっている。
きっと、この少年達に怖いものは何もないのだろうと思う。
だが本当は怖いものが無いのではなく、
本当に怖いものが何かまだ知らないだけなのだ。
本当に怖いものに直面した時、彼らは果たして立ち向かえるだろうか。
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