「イースト・リバー」
 

川のほとりを走る事が日課になった。
汗をかくほど真剣に走るのは長距離部に所属していた中学の時以来である。
あの頃に作った仲間や青春といったものはほとんど後に残らなかったが、
なぜかその時についた筋肉はいつまでも消える事なく足に残っていた。
 
部屋の近くを流れる川はいつも緑。
私の住む町の川は必ず汚いという悪い法則があった。
川を泳ぐ魚たちを見ると、何だか少し申し訳ない気持ちになる。
たとえ私がこの汚れた街から逃げ出せても、
あの魚たちは永久にこの川から抜け出せない。
 
ただ一度だけ、美しい川のほとりに住んだ事があった。
桜の散る春の終わりに、私はその町からここへ来た。
時は四ヶ月前にさかのぼる。

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