「イーストロード26(後編)」
2012年8月15日 時の小説・2012~「イースト・レイン」
外は雨だった。
壁に寄りかかりながら、ただ身体を癒していた。
濡れた服を、電気ストーブの鋭い光が照らす。
机の上には、大量の寿司と菓子が散らばっている。
引っ越しを終えた祝いのために一人でスーパーで買ったものだ。
運送は業者に頼んだが、
トラックに積みきれなかった荷を運ぶため、雨の中、長距離を歩いて二往復した。
体力も精神も底を尽きかけていた。
だが底を尽いたのなら、ここから先はただ昇るだけだ。
後はこの雨音と、古い木の香りにその身を委ねる。
今日からこのアパートで暮らすのだ。
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