「イースト・アナザー・リバー」

一人で川へ向かう。
私をこの町に惹き寄せた、あの大きな川へ。
いつか、中学生の男女が歩いているドラマのワンシーンで見たような、
まるで絵に描いたような川だった。

夙川とは違うと思った。
春には桜の花びらを浮かべ、どこか孤独さを漂わせていたあの夙川とは、
大きさも雰囲気もすべてが違った。
かつて互いの孤独を共有し合うかのように向き合ったあの川とは違い、
この多摩川はまるで全ての人間の孤独を飲み込むほどの雄大さがあった。

川沿いに出ると、鯉の群れが近くに集まってきた。
エサを投げるふりをして腕を振ると、何匹かの鯉が争うように口をパクパクしていた。
横を見ると、老人がハトの群れにエサを与えている。
本当は皆、孤独なのだと思った。

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