「イーストロード34」
2012年9月23日 時の小説・2012~「イースト・ラビリンス」
美穂と買い物に出る。
ショッピングモールに二人でクリスマスのための食材を買いに来たのだ。
最上階の書店へ行こうとエスカレーターを昇ると、瞬時に美穂が天を仰いだ。
そこにはプレゼントを買いにきた大量の子供たちで混み合っていたのだ。
贈り物をねだる子、それを叱る母親、困惑する父。
そこには一般社会に確立された幸福の図式があった。
だが店内をさまよう父親たちの顔は皆、
まるで戦場から引き上げて標的を失った兵士のように見える。
幸福とは安定した時の中にあると信じられているが、
実際にはもう一つその上を行く、
「何かを追い求める幸福」という侮れない存在がある。
追い求める者は安定を求め、安定の中にいる者は何かを追い求めたがる。
結局、人生とは前に進む事でなく、
迷路をさまよい続けるだけの事なのかもしれない。
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