「イースト・アフェアー」

理花と青山で食事する。
少し老けたな、と思った。
それでもまだ年齢よりも若く見える。
彼女の口癖は「死んでもババアにはならない」だ。

他人をなぐさめる時に真実ほど邪魔になるものはない。
婚約者が不貞を働いた事を自分のせいだと嘆く彼女に、
ただひたすら「君は悪くない」と繰り返した。
だが本音は違う。
類は友を呼ぶ、人間は付き合っている人間で判断できる。
理花には昔から悪い男をひきつける微香があった。

驚いたのは、まだ結婚しようか迷っていると言われた時だった。
かつて高嶺の花だった頃は今は昔、もう三十に近い理花に言い寄る男は殆どいない。
「結婚するのなら浮気される事を前提でしろ」
という台詞もギリギリ、喉の辺りで止めた。

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