「イーストロード43」
2012年11月7日 時の小説・2012~「イースト・マリエイジ」
理花の結婚式に出る。
今日はすでに離婚が成立した高倉と一緒だった。
先日ようやく泥沼の離婚を終えたばかりの男と、かつて夙川で一緒に暮らした男。
果たしてこのコンビが参列してよいものかと思ったが、仕方がない。
理花には友達がいない。
結局、理花は製薬会社に勤める男性と結婚した。
随分ランクを下げたな、と内心思った。
二十代を医者、経営者、弁護士などと浮名を流してきた理花だったが、
最後は四十近くのサラリーマンで決着した。
ただこれまでの男と「軽薄そうで顔がいい」という点だけは共通していたが。
結婚式の規模は驚くほど小さかった。
どう考えても見栄っ張りでハデ婚派な理花だったが、
これだとまるで相手を誰にも知られたくないのではと思えるほど小さかった。
祝いにきた分際で私は内心、彼女を哀れんでいた。
理花は結局、人生において「自分」に負けたのだと思った。
私は見ていた。
彼女が歳を追うごとに「美」に没落していった様を。
そして私は知っていた。
高校時代、彼女が美しい純粋さを持っていた事を。
場所は神戸のとある高校・・・十年前にさかのぼる。
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