「イースト・ルーイン」

会社を辞めた。
クビになったわけではないが、辞めざるを得ない状況になった。
確かに感情的な印象はあったが、
まさか佐和子がこれまでの「関係」を会社にFAXで暴露するとは思わなかった。
FAXに書かれている事はニ割方ウソだったが、八割は本当だった。
上司に呼ばれて尋問を受ける。
佐和子はフリーライターだったが、うちの会社とは切っても切れない人物だった。

「特に社会に反する行為ではないので当人たちで決着をつけろ」
と言われ、社長室を出る。
結果、二週間後に辞表を提出した。
八割方の真実よりニ割のウソによって社内における私の信用は無くなった。
だがウソも真実も、もうどうでもよかった。
全ては身から出た錆だと思った。
佐和子が体以外の何かを求めている事を私は知っていて、知らないふりをした。
そう、あの瞳の時と全く同じように・・・。

ただしばらく寝ようと思った。
何も、考えたくなかった。

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